希死念慮の材料

 

溜まったメール 取れない着信 触れる気力もなくただ煙に巻いて いつか終わりが来ると 願っても叶わないことばかり考えている 行くアテも想像できぬまま 彷徨って 逃げるって 一体何処へ 堂々巡り

 

知らないマンションの外壁でやったあみだくじ

一口だけ、と強請って舐めた缶ビールの縁

フェンスに足を掛けて眺めた夕暮れ

指先が赤黒くなるまで頬張った桑の実

終業式の下校道に痺れる程痛かった指先

仲間に入れて貰えなかった放課後

入り浸ってた司書室の隅っこ

日曜日にどこからともなく香る味噌汁の匂い

親子が手を繋いで歌うカエルの合唱

コインランドリーの生暖かい空気

繰り返し耳に着いたコマーシャルのセリフ

 

肉眼でもくっきりと見える満月が瞳に溶けている。