「君たちはどう生きるか」を君たちはどう観たか

 

初めに言っておくけど、言わずもがな映画の感想です。成る可く本編の具体的な話は避けるつもりだけど、少しのネタバレも嫌な人はこの記事は読まない方が良いかと思います。

 

感想として、一言で表すなら「今までのジブリ作品の中で1番楽しめた」です。「1番面白かった」ではなく、「1番楽しめた」です。

 

先ず、ジブリ作品に対する個人的な話をしますね。私が映画館で観たジブリ作品は「崖の上のポニョ」と「借りぐらしのアリエッティ」の2作品だけです。借りぐらしのアリエッティの公開は2010年なので、今回13年振りに映画館でジブリ映画を観たということになります。勿論その13年の間に公開された作品を全く観ていない訳ではありませんが、「映画館でジブリを観ない」という事には私なりの理由がありました。

そこには私自身がジブリ作品に対する解像度が低い、という事が大いに関係しています。正直な話、ナウシカラピュタ千と千尋ハウル、トトロ、もののけ姫等、物語としてのあらすじこそ分かってはいるものの、描かれていない行間を汲み取ることができず、結局何がどうしてこうなったか理解し切っていないまま、ストーリーをなぞるだけの視聴を繰り返していました。自分が真に理解できない状態で2時間程映画館の座席に拘束されたら苦痛で仕方ないですよね。そんなジブリに対する一部の苦手意識によって無意識に映画館での視聴から逃げていたように思います。実際、ポニョやアリエッティを映画館で観たのは小学生の時でしたので、表向きなストーリーを見たまま受け取る事しか出来ませんでした。今、作品を見返すと「ポニョのママは何故あんなに大きいのか」や「翔は何を思って滅びゆく種族という言葉を放ったのか」と疑問が生まれますが小学生だった当時は映画館の席に座っているリアルタイムでこの疑問は生まれませんでした。何故だか分からないけどモヤッと?ヌルッと?する。自分の違和感を言語化出来ないことがストレスだったんだと思います。

ジブリの新しい作品が公開されても「どうせ金ローでやるっしょ」と思ってしまう。じっさい金ローで観るとしてもテレビに齧り付いて観る訳じゃないからそりゃ表面的なストーリーを何となく見る事しか出来ないですよね。ちゃんと説明出来るのなんて魔女宅と耳をすませば猫の恩返しくらいです。ほんとに。

 

アリエッティから13年経って、25歳になりました。正直映画が始まるまでこの不安は拭えませんでした。「分からない事が分からない側」だったらどうしよう。また物語がダラっと流れていくだけの2時間だったらどうしよう。

実際は杞憂でした。

観ると同時に噛み砕きながら頭に内容を入れていく余裕が出来ていて本当に良かった。ここはどういう意味?意図?どんな気持ち?(突然のゆゆうた)自分から思っている以上に湧き上がってくる疑問符に楽しさすら感じました。

そういった意味での冒頭の「1番楽しめた」だと思っています。ようやく私の中身が、ジブリを映画館で観る事に追い付いた。そんな感覚でした。

でもこれ、書いてみて思ったけど映画の感想じゃないですね。映画を通じて分かった私自身の成長のお話ですね。

 

本編に触れずに感想を書くことはやっぱり難しいです。ただ、今回の「君たちはどう生きるか」で1番琴線に触れたのはエンドロールに合わせて流れる米津玄師の地球儀でした。(勿論お気に入りのシーンは他にも有るけどここでは割愛します。映画見たよって人とは話したいです)

ただ単に私が米津玄師の曲が好きだから、という訳では無いです。割と無機質めなエンドロールの後ろで流れる壮大な曲調は文字にすると一見ちぐはぐでバランスが悪いように思えるけど、実際は作品を振り返る時間を態々作って貰ったかのように感じた。自分なりに物語を整理しながら、映画の絵コンテを何度も見直しながら書き上げられた(とZIPのインタビューで言ってました)歌詞やメロディを聴くと、なんてスケールの大きいモノを観ているんだろうと心が震えた気がします。

 

これも映画の感想じゃないですね。すみません。

 

少しだけ、ほんの少しだけ本編に触れるなら、作品のあちこちに、過去のジブリ作品の面影が投影されているように感じました。多分気付く人は直ぐに気付くと思います。私が気付けなかった部分もあるんだろうな。ミッケ!してるみたいで楽しかったです。

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あ、これ私が一番好きなミッケ!の画像です。

ゴーストハウスめちゃくちゃ人気でいつも図書室から借りられてたな。

 

感想と言えるか分からないくらいに迷走しましたが、君たちはどう生きるかを、私はどう観たか、は伝えることが出来たんじゃないかと思います。

 

君たちはどう観たか