粋なBBAとの出会いin吉祥寺

 

 

美容室帰りに、近くの映画館でやっている放映一覧を眺めてたら 丁度いい時間帯の映画があったのでチケットを購入。前から気になってたとかでは無く、ほんの思い付きで鑑賞を決めた作品なので、事前情報一切無しで見る事になった。

 

あらすじを述べると、

 

都会での偏見に息苦しさを感じた迅(ゲイ)が、山奥の田舎に逃げて静かな生活を試みていた所に、大学生時代の元彼(既婚、離婚調停中)が血の繋がった娘(6)を連れて居候しに来る話だ。

 

本編ではその元彼と妻のどちらが親権を持つのかで ある程度揉めるのだが、まあそんな事はこの際どうでもいい。妻がほんとに可哀想という感想しかない。

旦那を迅に取られ、娘は旦那と迅に懐き、娘を引き取ったと思ったら実母から離婚の事で小言や嫌味を言われ、「パパに会いたい」という手紙を送らされる。

見てられねぇよ…こんな展開見てられねぇよ…

自分も同性愛者という立場で映画を鑑賞していたのに、いつの間にか母親であり妻である女性に感情移入していた。

 

田舎の葬式会場で周辺のジジババが集まる中、突然「お話いいですか。僕はゲイです」と迅がカミングアウトするシーンがある。その時既に、村中に迅達はゲイなんじゃないかという噂が広まっており ヒソヒソと噂されるのを嫌がった迅が思い立ってこの行動に出る。

迅の話を聞き、静まり返った会場で、麻雀好きのババアが突然「歳取ったら男も女もよう分からん!好きにしたらいい!長生きせぇよ、迅」と笑いながらビールを飲む。

 

粋なババアだな

 

と思いました。

 

実際田舎ってホントに暇だから、年がら年中ジジイとババアがぺちゃくちゃ喋ってる。

ある事ない事平気で話のネタにするけど、話した内容に信憑性とか求めてないから、盛り上がればいいくらいのつもりでどんどん話に尾鰭が付く。若い人も居なくなってジジイとババアしかいない小さな村で生産性の無い同性愛者が暮らしていくのは、都会よりもハイリスクだ。

 

最近、地元の級友に 東京に住む利点は何だと聞かれた。

 

私は都会に出てきて良かったと心から思っている。田舎にいた頃より、自分をさらけ出せる場所が多く出来た。面と向かって嫌な事を言ってくる人は誰一人として居なかったし、相手がどんな年齢層でも、男でも女でも、カミングアウトしたせいで縁を切られるなんて事も全く無かった。

私の周りは私の事を「そういう目」で見ないでくれる。

自然で澄み切った空気より、排気ガスにまみれたこっちの方が、断然息がし易い。

それだけで、私が東京に居る意味は充分だ。

 

粋なおばあちゃんの友達欲しいんだけど、どこ行けば作れる?