うたた寝、束の間の夢

 

 

寝室に珈琲の匂いが漂い、目が覚める。布団でモゾモゾと蠢いていると、キッチンの方から 卵どうする?、と聞こえたので 「だし巻き卵がいい」とガサガサの声で返事をした。

トイレを済ませ、顔を洗ってキッチンを覗くと「おはよう、珈琲はお願いね」とマグカップを二つ渡される。艶やかな新米と、出汁の香る味噌汁、朝日が差し込んで、ふわふわの黄色い卵焼きが眩しい。

昨日の残り物だけど、と金平牛蒡の小鉢が出てくるのを受け取り、自分と相手のマグカップに珈琲を注いだ。猫の方にはミルクだけ、犬の方にはミルクと角砂糖を2つ。猫を手前に置いた。

 

 

 

という夢を見た。

 

更衣室の床は硬い。

赤いカーペットは何だか落ち着かないし、ロッカーがずらりと並んで圧迫感がある。

天井は薄汚れていて、長く眺められたものでは無いな、と思う。

現場までの時間を会社で過ごす為に出勤したが、暇だった、本当に暇だった。

午前半休で現場直行でもいいよ、等と言われたがこんな事で午前半休扱いになるなら、別日に丸一日休みが欲しい。暇過ぎて午前中に事務処理等全て終わらせた私は、文の冒頭で分かる通り更衣室の床に転がり、うたた寝をしていたわけである。

 

夢の中では、私はライター業をしており、在宅でしこしことキーボードを叩いていた。

窓際で煙草を吸いながら、フリーターの彼女と和やかな平日を過している。

理想郷だ、私の求める生活があの夢に詰まり過ぎていた。あまり相手の像はハッキリと覚えていないけど、よく笑う子だったと思う。

休日のような平日だった。夢の中の自分に嫉妬する。

 

休みの日について、最近よく考える。

充実した休日ってなんだろう。

 

多分、私が今1番没しているのは睡眠だ。

次の日が休みだと分かると、アラームをかけずに眠るので気付いたら夕方、下手したら18時を回ってしまっていることもある。

でも、この時いつも「またやってしまった」と後悔するのだ。

予定の入ってない休日はこれを繰り返してしまう。何も出来なかったと落ち込んで、次の日の仕事に備えてまた眠りに付く。

こんな風に後悔する自堕落な休日なら、がむしゃらに働く出勤日の方が人間としての価値はあるのかもしれない。あ、やばいな凹んできた。

 

今日夢見たような日が、もしくはそれに近しい事が自分にも起こるだろうか。

せめて美味しい朝ごはんが食べたいと思う。

旅館にでも泊まろうかな。