9月を君はどう生きたか

 

9月に入ると もう今年も終わるなー、と感じるのは私だけでは無いと思うがやはり些か気が早い気もする。

残暑も続き 暦上は秋なのに、と理不尽に9月である事を責める人が年々増え 学校や会社が始まる現実を受け入れられず、自殺を図る学生や社会人が後を絶たない今、みんなは何を考えて どう過ごしただろうか?

 

私は働き始めてから、特に9月が嫌いになった。

単純にうちの会社の繁忙期が始まるからだ。

ただでさえ理不尽で劣悪な労働環境なのに、これが繁忙期ともなると 社内全体の空気も風呂場の排水口並に淀む。連勤続きで残業ハイに突入した上司が笑いながら怒り出し、涙を流し女子便所に篭もる先輩。事務所は逆に空気が張り詰め、死刑判決が下る前の法廷に成り果てる。ペンキと埃とパテの粉でスラム街と化する作業場、全てが地獄絵図。

 

昨年の今頃は連日の出勤残業で体力的にも精神的にも余裕が無く、具体的に何が辛いのかも分からないまま毎晩ボロボロと涙を流し、泣き疲れて眠る事を繰り返していた。そんな日を続けていたら ついに涙も出なくなって  大袈裟に聞こえるが 生きている意味が本当に分からなくなってしまった。

理不尽に怒鳴られる事も 他人の評価を気にしたり、比較される事も 自分を情けなく思う気持ちも 全部がひと塊になって襲ってくる。 逃げ出したところで行く宛もなく 地元に居る親の意思に背く勇気も無かったから、今もこうして仕事を続けてしまっている。 私をこんな風にしてしまう9月が嫌いだ

ついでに言うと、全てを何の罪もない9月に擦り付けている私自身のことも嫌い。

 

令和元年の9月も、もう終わる。

9月3日にセプテンバーさんを聴いた時点で、私の中の印象のいい9月は既に終わったのだが。それ以降は クソうぇぜ会社の上層部に憎悪と憤怒を感じながら どうにか生き延びてしまった。

これをあと何回繰り返すんだろう、この先もきっと今以上に9月を嫌いになり続けるんだろうか。

 

10月に入った所で繁忙期が終わる兆しは見えず、働いた分に見合わない端金で年末まで食いつなぐ。買いもしていない宝くじに 7億円の夢を見て2019年が終わる。

 

君はどう生きた、この9月を。

来年はどう生きる、この9月を。