暗殺者は夢を見る

 

 

HUNTER × HUNTERのキルア=ゾルディックが好きなんです。

 

可愛いとか格好良いとか、そういう感情が無い訳じゃ無いんですけど、好きな理由はそこじゃなくて。

 

HUNTER × HUNTER知ってる、もしくは読んだことある人は分かると思うんですけど、彼は暗殺一家で有名なゾルディック家の三男(12)です。兄弟の中でも群を抜いて暗殺に関する才能があった事もあり、親からの期待やプレッシャーの中で生活していたんですよ。

12歳っていう年齢を考えると些か遅い気もしますが、彼にもやがて第二次反抗期が訪れます。

敷かれたレールの上を走るのが嫌になり、彼は自分のやりたい事を見つける為、親に逆らって家出紛いで飛び出すんですね。

幼い頃から暗殺教育のみを受けてきたせいで、キルアには友達と呼べる人間が1人も居なかったんですけど、ハンター試験会場で主人公のゴンと出会い、友情を知ります。

 

前置きが長くなったんですが、キルアの好きな部分が見えてくるのはゴンとの関わり方なんです。初めての友達、初めての親友、特定の人間と深く関わることを教わってこなかったキルアにとって、ゴンとの距離感は彼自身を凄く悩ませる材料になりました。

 

「普通にゴンと友達になって、普通に遊びたい」

 

キルアが自分を連れ戻しにきた兄、イルミに言った台詞なんですけど、たったそれだけの事がキルアにとっては凄く難しい事だったんです。

語ると長くなってしまうので割愛しますが、キルアは物語の中でゴンに対して一時期依存感情の様なものを抱いてしまう描写が見受けられます。初めて出来た友達に対してそういう気持ちが芽生えてしまうこと、逆に芽生えられてしまうこと、皆身に覚えがあると思う。

 

キルアって一見、生意気で強かで無遠慮に物を言うせいで高圧的な人に思われがちなんですけど、めちゃくちゃ自尊心が低かったんです。

家柄上、意志を押さえつけられていた(イルミの針の)せいもあって、無理だと思う事に対して諦観するのが早かった。それを自覚しているから、尚更自分とは真逆の性格をしているゴンの隣に並んでいる自分が情けなくなったりして 必要以上に自分の価値を下げちゃう所があったんですね。

「いつかゴンを見殺しにする」と師であるビスケに指摘されてゴンとの別れを決意するキルアなんですが…(どのタイミングとは言わない)

そういうのも、ゴンに対する一種の依存感情への糧になってしまっていたりするのですけど、彼はちゃんと自分の力で 乗り越えますからね。

初めて出来た友達と対等でありたい、と願うキルアの人格成長は 見ていて本当に気持ちがいいし何度も泣きそうになります。というか、泣きます。毎回。何度読み返しても。

あんなに劣悪な環境下で育ってきた子がこんなにも真っ直ぐに成長出来るんだな、と私は歳下であるキルアくんに頭が上がりません。

 

まあ彼、敵と見なしたら容赦なく人殺すんですけどね!

 

HUNTER × HUNTERにはキルアだけじゃなくて、他にも魅力的なキャラクターが沢山出てきます。ビジュアルやボイスだけでは語りきれないような、本質的な部分に尊敬や羨望の意が溢れて止まりません。

 

見るに踏み込むまでにかなり二の足を踏む作品ですが、もう読み出したら止まらないですからね。絶対後悔しないと思います。

 

まだ見た事ない人居たら是非読んでください。

アニメでもいいです。旧バージョンのアニメも、味があってめちゃくちゃ格好良いですよ。

絶対に後悔させないから、マジで。読め。