え、好きなタイプですか?
その質問、聞かれたら答えようと用意してたのがずっとあって(笑)
なかなか聞いてくれる人居ないから言うタイミング無かったなー。あ、で結局なんだって話ですよね。
ズバリ、「夜中一人でコンビニに行く時も、信号が青になるまできちんと待つ人」です。
…具体的過ぎて地雷臭がする?確かに。
過去の恋愛引きずってるのがバレバレですね。
未練?は無いですけどもうこれは呪いの域というか。
え、話していいんですか?じゃあ遠慮なく話しますけど。
大学生の時、学校から近い奴の家が溜まり場になるじゃないですか。よく集まって飲み会とかゲームとかしてたサークルのメンバーが居たんです。
その時夜中に、お酒とかおつまみを買いに行く人をジャンケンで決めて、そう、よくあるパターンです。一緒に買い出しに行った先輩のこと、ちょっといいなーと思ってて。
もちろん夜中だったんで、あんまり外も人通りなくて車も通ってなくて。
信号が赤だったけど、私渡ろうとしちゃったんです。だって誰も居なかったし。
そしたらその先輩「めぐちゃん、まだ赤だよ」って私の腕を引っ張ったんです。
私ちょっと恥ずかしくなっちゃって。
あー、幻滅されちゃったかなって、「すいません!」とか気付かなかったフリしながら慌ててみたり。
だけどいくら待っても信号が青にならなくて、おかしいなって思ってたら先輩が「押しボタン式でした」って舌を出しながら、あの黄色い箱を指さしたんです。
その時、あー好きだこの人って思って。
色々あって、その先輩とは無事付き合えたんですけど、付き合い出して半年ぐらいした後に、その先輩に彼女がいた事が分かって。
なんで気付かなかったの?って話なんですけど。
先輩は2つ上の、先に卒業しちゃってる人と付き合ってたみたいで。マキさんって言うんですけど。周りは誰も知らなかったんです。
だけどある時同じ学部の女の子の中に、マキさんと同級生のお姉さんがいる子が教えてくれて。
先輩に問い詰めたら、バレちゃったってあの時と同じように舌を出したんです。
私悲しかったと同時にすごくムカついて。
「なんで夜中の信号は守れるのに人としての道理は守れないんですか」って叫んじゃいました。そしたらなんて言ったと思いますか?
「誰も見てなかったら俺だって赤でも渡るよ」
後から聞いたら押しボタン式なのも全部分かってたって。当たり前ですよね。だってサークルの飲み会なんて今まで何度もあったし。私が買い出しに連れてかれた日は、あの日が初めてだったけど、マキさんともあの信号の前で付き合う事になったって聞いて目の前が真っ暗でした。
歩行者用の信号にも、黄色を付けてくれたらいいのに。注意しろって教えてくれたら良かったのに。
そんな訳で、私の好きなタイプは「夜中コンビニに行く時も、信号が青になるまできちんと待つ人」ではなく「夜中『一人で』コンビニに行く時も、信号が青になるまできちんと待つ人」になりました。
そうですね。
簡単に言うと「浮気しない人」なんでしょうね。
でも、夜中の信号を一人でも守れる人は浮気しなそうじゃないですか?…勝手な願望ですけど。
俺は一人でも信号守るよって?
嘘ですよね。
左手の薬指、あと残ってますよ。店入る前に外したんでしょうけど。
マッチングアプリ、失敗だったなあ。
※この会話は全てフィクションです。実在の人物、体験は関係ありません。